材種のご紹介
ウォールナット(世界で一番の人気)
クルミ科の広葉樹です。厳しい寒さの中で時間をかけて成長するウォールナットは、硬く油分を多く含むため使い込む程艶が出てきます。紫外線を吸収し、少しずつ明るくなり経年変化を楽しめるのも魅力の一つです。狂いが少なく、耐久性があり、重厚感のある美しさから、家具や楽器、建築材としても使われています。この10年程世界的な人気による価格の高騰(中国の爆買い等)、供給量の減少となっている材種です。また、銃床として、ライフル・ピストルの持ち手に多く使われています。
ウォールナットを製材すると、結構な頻度で弾丸や釘が出て来て刃を傷めることがあります。弾丸や釘を受け、それごとのみ込んで、更に育つ木の強さと柔軟性を感じる瞬間です。銃社会の地域では、必ずしも戦争とは限らず、練習や狩りなんてこともあるかもしれませんね。釘に関しては「接ぎ木の際に使われた」説、「釘を打った所が鉄分で黒ずむため、良い色が出ると信じられていた時期がある」とか諸説ありです。いずれにしても、製材する立場にはちょっと手強い材種といえるかもしれません。
アジアンウォールナット
シクシン(マメ)科の広葉樹で、東南アジア方面が産地の一枚板です。タイではロクファー(ロックファー)、インドでは「インディアン・ローレル」とも呼ばれています。ブラックウォールナットより 、硬さ・耐久性共に優れていて、両材は全く違う種類です。その耐久性から土足での重歩行に適しているため、自動車のショールームやレストランなどで床材としても採用されています。以前は、ブラックウォールナットの代替品として出回っていましたが、現在ではその人気、価格において差は殆どありません。 辺材は黄褐色。心材は濃黒褐色・濃紫褐色で、縞模様があるのが特徴です。高級感があり、落ち着いた雰囲気で、オイルや塗料を塗ることで木目が引き立ち、色濃く変化します。紫外線に当たる環境では、日焼けしてやや薄くなり経年変化を楽しむことも出来ます。長尺ものは大変貴重とされます。但し、湿度による伸縮があるので、冷温風や加湿器の蒸気が直接当たる場所には置かないようにしてください。
タモ
モクセイ科トネリコ属広葉樹の一枚板は、 硬くて丈夫なため、傷が付きにくく、プロ野球のバットなど運動具用材としても使われるほどです。比重が低く強度の落ちるものは家具用に使われています。木目は真っ直ぐで、肌目は粗です。心辺材の境目がハッキリしていて、心材は淡褐色、辺材は殆ど白色です。経年で黄色味が強くなり、多少濃い色合いに変化しますが、ゆっくり変化するので「いつの間にか変化し馴染む」という印象です。そのナチュラルで明るい色合いは、和・洋風問わず、どんな空間にもマッチし、繊細で凛とした高級感を演出します。重く、強い木材で、乾燥もし易いです。広葉樹の中でも大きく成長するタモは、美しい木目が均質に取れるため、一枚板テーブルやカウンター材にとても向いている材種です。
チェリー
ブラックチェリー/ワイルドブラックチェリー/ワイルドチェリー
カナダ太平洋岸~パナマ東部
バラ科サクラ属の広葉樹です。木肌が繊細で、表面の仕上がりが美しいことから、高級家具や楽器にも使われます。使うほどに木肌が褐色を帯び、キレイなあめ色に変化します。経年美化を楽しむ素材です。木目が淡く、柔らかな高級感が特徴の一枚板です。
日本に輸入されるサクランボの95%以上がアメリカンチェリーです。実は、動脈硬化防止や高血圧の予防、視機能の改善に役立つポリフェノール(アントシアニン)や鉄分を多く含みます。食べて良し、住んで良しの万能な樹木なんですね。
杉
ヒノキ科(スギ科 スギ属)の常緑針葉樹で、天然杉の一枚板です。日本では、広範囲で生息し、一番馴染み深い樹種といえるでしょう。気候、土壌、育林方法の違いから、地域によって木目や色合いなどの材質に差が出、天然林と人工林でも差が出ます。大きな材が取れ、木目が真っすぐで加工しやすく、乾燥も容易で扱いやすいため建築材や有用材として様々な用途に使われてきました。心材は黄色味を帯びた赤褐色で、辺材は白っぽい。手触りが良く、温かみがあるのが特徴です。
柔らかく、多少キズが付きやすい面もありますが、個性として捉え、塗装を施しメンテナンスをすることで、長くお使いいただける素材です。
けやき
ニレ科(ケヤキ属)の広葉樹(環孔材)で、本州、四国、九州に分布します。材は実用性と色味、木肌の美しさを兼ね備え、立ち姿も美しい日本の広葉樹を代表する木です。耐久性や耐湿性に優れ、硬さは個体差があります。年輪が粗く重い材は、非常に硬く、家の大黒柱や柱にも使われてきました。年輪の細かいものはおおむね柔らかく加工しやすいので、木彫りなどに使われてきました。建築材としては特に社寺建築に使われ、日本の伝統文化を象徴するような、ダイナミックで重厚感のある木目が特徴です。心材と辺材の境目が明瞭で、心材はオレンジ色~黄色味のある褐色系、辺材はほんのり淡い黄色で、材色はとてもキレイです。
消臭効果や抗菌効果(香り成分)があり、リフレッシュ効果が特徴です。反りや伸び縮みが起きやすいため、丁寧な乾燥を必要とする素材です。
サクラ
バラ科。木目がややワイルドな印象で、強靭且つ流通量は少なめです。硬い中にも、優しい柔らかさを感じる風合いです。加工性、着色性ともに優れ、磨くと光沢が出ます。経年変化で、あめ色がかった艶が出てくるのが特徴です。
ヒバ
ヒノキ科アスナロ属の針葉樹で、アスナロは本州、四国、九州、アスナロの変異種ヒノキアスナロは北海道南部~本州北部に分布しています。厳寒の中ゆっくりと成長し年輪を重ねるため、柔らかいが、狂いの少ないきめ細かい木目となり、木肌は緻密です。ヒノキチオールなどの抗菌成分を多く含み、雑菌の繁殖を押さえ、耐久性が高く、水やシロアリにもかなり強いのが特徴です。これらのことから、建築材としては土台や屋根、水回りでは浴槽などにも使用されています。心材と辺材の境目は不明瞭で、全体的に黄みがかったクリーム色で、年輪がはっきり見えないのも特徴です。ヒノキチオールの強い香りは、緊張を和らげ、心を落ち着かせる作用があり、不眠の軽減にも有効とされています。アロマセラピーでは、ヒバの精油は血行促進による冷え、むくみ、こりの解消としても用いられているそうです。